4大学の学生が課題解決力競う インターナショナル・ケース・コンペティション開催


▲議論やリサーチの成果をプレゼンテーション

日本、アメリカ、イギリス、香港の4大学の学生が参加し、4カ国混成チームに分かれて課題解決力を競う「インターナショナル・ケース・コンペティション」が6月12日から21日まで本学を拠点に開かれた。期間中、学生たちは名古屋や大阪の企業や観光地を訪問したり、チームごとに議論を重ねたりして、「ニートやフリーターの若者の社会参加と地域振興に資するビジネスプランを立てる」といった課題に即したプレゼンテーションの内容を練り上げ、20日に各チームが発表した。大学生が国籍を超えて知恵を出し合う「コンペ」の開催は日本では初めてで、グローバル人材養成の実践的な試みとして注目された。
 
参加したのは本学のほか、ウィッテンバーグ大学(アメリカ)、ロンドン・サウスバンク大学(イギリス)、香港科技大学。本学の12人を含め各大学から学生計33人のほか、指導者として教員も加わった。
 
宿泊したのは片鉾の国際交流セミナーハウス。初日の12日夜はゲームで緊張をほぐし、親睦を深めた。翌日からはオリエンテーションと各チームに分かれての意見交換。学生たちは実際に起業したと仮定してビジネスプランを立てることになり、「日本の若者が置かれている状況は?」「日本の教育では一度コースを外れると元に戻れない」など、各チームとも連日深夜まで英語で議論し続けた。
 
15~16日は名古屋市を訪問。名古屋城で武将姿で観光PRする「名古屋おもてなし武将隊」の演武を見学したり、名古屋市公館で観光政策について説明を聞いたりした。17日はパナソニックやコマツを訪問し、グローバル企業の人材育成などを学んだ。
 
20日は午後1時からマルチメディアホールで各チームのプレゼンテーション。各チーム20分間の発表と15分間の質疑応答。学生たちはそれぞれ役割分担し、用意したスライドを上映しながら、英語で発表していった。審査員は、「名古屋おもてなし武将隊」の徳川家康役のメンバー男性、京都大学大学院のベイバー・ウィリアム准教授、世界的な音楽プロモーション会社「ライブ・ネイション」の中国担当、ロッブ・スピッツァー氏、本学のスコット・リンド外国語学部准教授の4人が務めた。
 

▲チャンピオンに輝いたチーム6


▲審査員と指導した教員たち。審査委員には「名古屋おもてなし武将隊」の徳川家康も

審査の結果、チャンピオンに輝いたのはチーム6が発表した「Social Hope Enterprise」。競売物件の家を購入し、ニートやフリーターの若者の建築や塗装、配管などの技術習得の場とし、その家を改修して売り出したり貸し出したりするというプランで、社会的なインパクトがあると高く評価された。

このチームに参加した外国語学部英米語学科2年の井栗瑠美さんは「とてもハードな日々でしたが、日本のことを説明することでチームに貢献できた」と話し、同2年の廣沢夏怜さんも「連日午前2時3時までの議論で、この内容に決まったのが3日前。言葉の壁を乗り越えてチームが一体になれた」と振り返った。
コンペを担当したマーク・トレーシー留学生別科ディレクター(准教授)は「本学の学生たちは想像以上にハードだったのでは。文化の違う4大学が1つのチームでプロジェクトを完成させることは難しかったと思うが、成功してよかった。この試みが他大学にも広がっていけば」と期待していた。
 

▲課題について熱心に議論する学生たち

このコンペは、単位互換協定校のウィッテンバーグ大学からの提案を本学が受け入れ、実現につながった。


▲パナソニック訪問では、移築された松下幸之助氏の私邸「光雲荘」も見学
 
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