スペイン語教授法研究会開く ワークショップ形式で「異文化能力」の理解深める 

▲「異文化能力の育成」について語った早稲田大学の四宮瑞枝講師

イベロアメリカ研究センター主催の第8回スペイン語教授法研究会が7月11日、中宮キャンパスの多目的ルームで開かれた。早稲田大学文学学術院の四宮瑞枝講師が「異文化能力の育成について考えよう―スペイン語教育における文化リテラシーと異文化トレーニングのアイデア―」をテーマに、異文化を尊重し合う精神を外国語教育によってどれだけ育てることができるのか語った。参加したのは、本学のスペイン語教員や学生、大学院生ら約20人。テーマごとに2~4人の少人数に分かれ、ワークショップ形式による実践を通じて、スペイン語の授業に限定されない異文化理解のポイントが次々と示された。
四宮さんはまず、あるルールに従った「足し算」を例示。「2+4=6」「4+6=10」「6+10=4」「9+5=2」の場合、「5+3」「8+5」「11+9」の解はどうなるか? 正解は8、1、8。12で0に戻る時刻の計算で、種を明かせば「なるほど」だが、ルールがわからないと答えが出ない。異文化理解が前へ進まない場合の難しさを計算に置き換え、参加者の印象を強くした。
 
▲「手のひらの大きさ」を比べてグループ分け

さらに、基準を「誕生日順」「手のひらの大きさ順」「いい人順」として、次々とグループ分けを指示。参加者が実際にグループを作った後、▽ルールは明確でも判断基準が不明確=誕生日▽ボディタッチなどが必要で確かめ方が簡単ではない判断基準=手のひらの大きさ▽主観と客観で判断が異なるもの=いい人――と解説。参加者は、それぞれのケースが異文化に接した場合に起きる問題点に置き換えられることを確かめ合った。
 
タイトルにある「文化リテラシー」については、情報や知識を鵜呑みにせず、複数の視点から注意深く、論理的に分析するクリティカル・シンキングがそのベースにあり、情報や知識に行動力が伴って初めて実践されるものだと説明した。
 
▲研究会はワークショップ形式で進められた

また、スライド写真を見て、▽事実としての描写▽画像の解釈▽評価=自分の気持ち――を書き込んだり、2人1組のロールプレーをしたりして、異文化トレーニングを実践。最後は4人1組になり、ワークショップ形式で実践してきた事例がスペイン語の授業にどれだけ応用できるか、話し合った。その結果発表では、「体を動かしてのコミュニケーションや、ロールプレーは教室でもできる」「写真を見て書く作業は、スペイン語のライティングやリーディングにも使える」などの発言があった。
 
この研究会はスペイン語を専攻する学生への指導法を探るため、2011年4月に発足した。今年は1月の第7回に続いて2度目の開催。

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