大学院生16人が修士論文の公開発表を行いました

 大学院生による修士論文の公開発表が10月21日、中宮キャンパスで行われました。英語学専攻7人、言語文化専攻9人が専攻ごとに二つの教室に分かれ、発表時間25分、質疑応答時間10分で行いました。


▲修士論文の成果を発表する大学院生と熱心に耳を傾ける出席者

 冒頭、大学院外国語学研究科長の益岡隆志教授が「発表者と出席者の間で活発な議論が行われ、大学院生の間のさらなる交流の場となることを期待します」とあいさつしました。両教室では、大学院生、学部学生、教員ら合わせて約40人が発表を聞きました。


▲あいさつする益岡隆志・大学院外国語学研究科長

 大学院博士前期課程2年英語学専攻の横瀬達郎さんは「探偵小説における名詞の役割ー叙述トリックを語彙の点から照射するー」の研究テーマで発表しました。


▲「叙述トリック」について発表した横瀬達郎さん


 横瀬さんの論文は、読者にミスリードを仕掛ける叙述トリックの小説技法について、作家アガサ・クリスティの『アクロイド殺し』(1926年)を対象に分析。作品の序盤で、犯行が男性によるものであると主張する描写があり、その場面で「man」の単語が使用されていることに着目し、このmanの語源や話者心理、洗練性などを分析することで叙述トリックを語彙的な視点から解剖しました。


▲出席者から活発に質問が出ました

 出席者からは「叙述トリックと奇想天外なトリックとの違いは何か」「manが意味する内容について、ネイティブがどうとらえているかを押えておく必要があるのではないか」といった質問や意見が出ました。

 発表者と研究テーマは以下の通り。
■英語学専攻
・浦山浩一「ゲームキャラクターにおける言語形式についてー年齢・性別・階級の観点からー」
・樋口千種「❛Professionalism ❜と理想的英国執事像ーTHE REMAINS OF THE DAYいおける「信頼できる語り」の分析」
・横瀬達郎「探偵小説における名詞の役割―叙述トリックを語彙の点から照射するー」
・和田藍花「学習支援のためのマルチメディア教材の提示」
・赤堀由喜「Toward the Realization of All-English Classes at Secondary EducationーThe Possibilities and Some Challenges Explored from School Scenesー」
・西村真「高等学校『英語コミュニケーションⅠ』教科書の横断的調査—領域統合型言語活動の観点からー」
・溝口琴己「中学校英語における『やり取り』の即興性に関する教科書分析」

■言語文化専攻
・黒岩里名「義務教育段階における国語科教材の日中対照比較ー小学6年生を中心にー」
・小坂健太「日本語疑問文の理論的解釈モデルーメンタル・スペース理論の観点からー」
・沈婷怡「発話行為における各レベルの中国人日本語学習者のフィラーの使用状況について」
・孫亜京「命名論における日本ゲーム『ポケモン』のキャラクター」
・西森優花「源氏物語における植物を使用した比喩表現の日中比較」
・前田真由「指示詞『あれ』の用法と日本語習得について」
・劉芸「諺に反映される死生観の日中対照研究ー『生老病死』」を巡ってー」
・佐々木瑠海「学生の経済状況からみる日本の高等教育制度の実態と改善策」
・本田宗汰「日本における高度外国人人材の就業実態とその構造的問題」
一覧を見る