短期大学部のKGCベーシックスの全体授業で、外務省の池上正喜さんが講演しました

 短期大学部のKGCベーシックスの全体授業が、谷本記念講堂で11月1日に開かれました。「外交講座」として外務省欧州局審議官の池上正喜さんが講演し、短期大学部の1、2年生800人が最新のロシア情勢を学びました。

 初めに、谷本和子短期大学部学長が「皆さんの好奇心や関心が刺激され、世界への興味がより一層深まることを期待しています」とあいさつしました。

 
▲あいさつする短期大学部の谷本学長

 池上さんは、欧州局中・東欧課長や在ロシア大使館公使などを経て、現在は外務省欧州局審議官、中央アジア・コーカサス担当外務省特別代表を務めています。外交講座では、1年生に「ロシアについて」、2年生に「ロシアとウクライナ―戦争の源流―」をテーマに講演しました。

 
▲ロシアについて講演する池上さん

 冷戦後のロシアに西側の文化が入り大きく国民の変化をもたらしたものとして「マクドナルド」を挙げました。「マクドナルドは、西側の食べ物が入ってきたというだけでなく、販売者の接客サービスが注目されました」と話しました。

 ソ連時代には「他人に笑みを見せない」「物を販売する者がおもてなしをしない」ことが普通だったロシアで、マクドナルドが接客やサービスにまで与えた影響は象徴的であり大きなものだったといいます。

 
▲熱心にメモを取りながら耳を傾けました

 ウクライナへの侵略については、その背景として「ロシアがNATOの東方への拡大に危機感を持ったことだ」と指摘しました。侵略が始まった当時、ロシアにいた池上さんは、抗議デモをする人たちが当局に拘束されるのを目の当たりにしたことや、現地のロシア人が「今は下を向くとき。今は声を上げず、状況が変わるのを待つのみ」と話していたことを紹介しました。

 
▲1年生は外務省で働くことについて質問しました

 
▲2年生は最近のニュースや地域情勢について質問しました

 池上さんは「ロシアという国を見ると現在は良いニュースや情報がなく、全面的に否定しそうになりますが、その国の人や歴史、文化を見て、感じて、自分の考えをもってほしい」と話しました。そして「人生は1度きりで自分のもの。様々な経験で視野を広げ、自分の関心ややりたいことを見つけてください」とアドバイスしました。

 講演に先立ち、池上さんが谷本榮子理事長を表敬訪問しました。谷本理事長は「関西外大は50年間にわたり海外留学に取り組み、学生に外から日本を見る機会を提供してきました。現在はSDGsに関連する貧困や飢餓について向き合う留学を提案しています」と話しました。これに対し池上さんは「外の世界を見る機会をつくるのは大学の大切な役割の一つだと思います」と応えました。

 
▲講演に先立ち谷本理事長(左)を表敬訪問しました

 また、2022年秋に来日し、現在、国際共生学部で学ぶウクライナからの留学生、ロマニヴ・オリハさんも面談し、「たくさん友だちができました。他に苦労している学生が大勢いますが、私は外大で日本語が学べて幸せです」と話していました。

 
▲ウクライナからの留学生、オリハさん(中央)とも面談しました
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