FD講演会 講師は本学卒業生の山田剛史・京都大学准教授

FD委員会主催の第5回FD講演会が9月9日、中宮キャンパスの多目的ルームで開かれた。講師は本学の卒業生で京都大学高等教育研究開発推進センターの山田剛史准教授。「大学生の学びと成長を促進するために何が出来るか―高等教育質保証の実践的展開に関する各種データを踏まえて―」と題し、大学での教育の質保証や学生の側からみた授業改善などについて、データをもとに説得力のある解説を展開した。講演の後は4人1組のグループワークで、参加した約50人の教員がみんなでFDや授業改善について考える、充実した講演会となった。


▲多くのデータをもとに講演した山田剛史・京都大学准教授

山田准教授は青年心理学と高等教育研究が専門。本学の外国語学部を卒業後、大阪教育大学大学院教育学研究科修士課程を修了し、神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程を修了して博士号(学術)を取得している。島根大学、愛媛大学を経て今春から現職。一貫して大学での教育開発に携わっている。
講演で、山田准教授は高等教育の質保証について、「これまでは、教員や大学が主語だった。学生の側に立ち、『学修改革』につなげる必要がある。そのための議論が必要」と話した。大学に求められている3ポリシー(ディプロマ、カリキュラム、アドミッション)については、「今後、義務化に伴い内容や活用の仕方にも意識を向けざるを得なくなる。どうやってカリキュラムや授業の改善につなげるかが、課題になるだろう」と述べた。


▲50人の教員が参加したFD講演会

また、授業や学修の改革については、大学側と学生を対象とした3つの調査結果をもとに、現状認識や将来のあり方に言及した。このうち、全国大学の学科長が対象の調査(2013年)は2376学科(回収率45.7%)が回答。それによると、「主体的な学習」を促すための学科の取り組みで実施率が高かったのは、▽プレゼンテーション▽調査学習▽討論・ディベート―の順。PBL(課題解決型学修)はさほど高くない実施率の割に、効果は大きいと受け止めているという調査結果も紹介した。
学生の調査は第1回が2008年、第2回が2012年。授業時間外の学習時間は4年経過しても、わずかしか増えていなかった。また、授業・学習観では「単位を取るのが難しくても、興味のある授業がよい」という回答が減り、「興味がなくても、単位を楽に取れる授業がよい」が増加。山田准教授は「学生たちには授業外学習が単位につながるという認識がない。教員は授業で中身を詰め込んでしまう」というジレンマに陥っている現状を指摘した。


▲参加者からの質問に答える山田准教授

参加教員のグループワークでは、山田准教授があらかじめ配布した「学生の学びと成長を促進するために何が出来るが」というシートに「大学全体」「学部・学科」「個人」別に自分の考えを書き込み、それをもとに4人1組で話し合った。終了後、2組の代表者が発表。続いて、質疑応答も行われた。
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