大学院言語文化専攻の2人が修士論文の公開発表を行いました

 修士論文の公開発表が3月7日、中宮キャンパスで行われ、いずれも大学院外国語学研究科言語文化専攻の馮揚さんと包新業さんが発表しました。


▲あいさつする益岡隆志・大学院外国語学研究科長

 冒頭、益岡隆志外国語学研究科長があいさつし、「発表者のプレゼンテーション力と参加者の質問力・コメント力が問われます。興味深い発表と建設的な質疑応答を期待します」と述べました。公開発表は、発表時間25分、質疑応答10分で行われました。


▲日本語の配慮表現について研究した馮揚さん

 「文化の学習を通じて日本語能力を高める方法―配慮表現について」
 馮揚さんの研究テーマは「文化の学習を通じて日本語能力を高める方法―配慮表現について」。日本語の学習において、「対人関係を良好に保つことに配慮して用いられる言語表現」とされる「配慮表現」を理解することが重要と位置づけ、言語文化の学習と日本語能力の向上の関連づけ、各種配慮表現とその背後にある原因の体系的整理などを研究目的としました。

 配慮表現の例として、「〇〇はお好きですか」との問いに「あまり‥‥」と答えるといった省略を挙げました。そのうえで、日本語学習者にとって、こうした配慮表現の使用法や背景を理解するのは難しいため、日本語教育において重要な教育内容として取り入れる必要性を指摘。配慮表現の形成原因として、和の理念を大切にしてきたことがあるとの見方を示しました。


▲有標受動文に関する日中対照研究について発表する包新業さん

 「有標受動文の接置詞を中心とする日中対照研究」
 包新業さんの研究テーマは「有標受動文の接置詞を中心とする日中対照研究」。現代中国語で「小明被小王打了(小明は小王に殴られた)」のような受動の意味を表す「被」を使った有標受動文(〝被〟構文)について、能動文と異なり動詞が文末に来る語順は日本語の有標受動文と類似していることに着目し、両言語の統語的分析を行いました。

 従来の有標受動文に関する日中対照研究は、意味分析を中心とするものが多く、両者の統語構造上の接近に注目した統語分析は少なかったことから、統語モデルによる日中両語の有標受動文の相違点を浮き彫りにし、第二言語習得の手助けとなるヒントを提示することを目的の一つに上げました。


▲中宮キャンパスで行われた修士論文の公開発表
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