外大生にふさわしい授業とは……鵜島教授のFDカフェ


▲和気あいあいとした鵜島三壽教授のFDカフェ

「FDカフェ」の第5話が10月30日、英語国際学部の鵜島三壽教授を話題提供者に迎え、中宮・多目的ルームで開かれた。「外大生にふさわしい『日本学』を模索して」という演題で、留学が特別なことでなく、留学生との交流も日常的に行われている本学の学生にとって、魅力的な「日本学」の授業とは何かを考え続けてきた鵜島教授が、日本人の美意識や言葉のとらえ方を中心に、興味深い話を披露した。20年間、文化財の保存・伝承に携わってきた経験などをもとに、工夫を凝らした授業の進め方を紹介。学研都市キャンパスとも同時中継され、教員や学生ら約40人の参加者は、「日本文化の楽しさ」を堪能した。
 

▲鵜島教授は「外大生に必要な授業を」と説いた

鵜島教授は国際言語学部で「日本学研究概論」、外国語学部で「JapanologyB・日本学B」を開講。「留学したら現地の博物館へ行く。そこで日本のものが展示されていたら、説明できるか」という観点から、日本の文化的伝統とは何か、自分はどこに立脚しているのか、という「気づき」を学生に促している。日本の焼き物について、「アメリカで備前や信楽、伊賀焼などを見せると、決まって“汚い”という感想が返ってくる。日本人にとっては、作品の傷や修理跡も美しい。不完全さの中に美を見いだしているからだ」と「破格の美」という概念を説明した。
 

▲参加した学生からも質問が

また、言葉の面では寿司の「助六」が、歌舞伎十八番の『助六所縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』から名付けられたという話を紹介。主人公・花川戸助六と恋仲になった傾城の名前、揚巻の「揚」=いなり寿司、「巻」=巻き寿司という言葉遊びで名前が付いたことを例に挙げ、「日本人はこういう“変化球”が好きなのです」と話した。また、口合い(関東では地口)というダジャレや掛詞の言葉遊びなど、日本語の面白さにもふれた。
 

▲澤田治美FD委員長のあいさつ

「JapanologyB」の授業では、日本特有の文化としてモノづくりや盆と正月、漆器の魅力などを挙げ、歴史を学びながら日本を知ることに力点を置いているという。「覚えられないから歴史が嫌いという学生がいる。そうではなく、歴史は事象を推理し、論証することが魅力なのだ」と強調。講演全体を貫く「外大生にふさわしい授業」というテーマが、参加した教員の関心を集めた。和気あいあいとした参加者とのやり取りのなかで、鵜島教授は演題に込めた思いについて、「学生にとって必要な視点があるはず。必要性を考えて授業を組み立てている」と話した。


▲この日は就業体験の中学生4人(右)も参加
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