理事長・総長 あいさつ

谷本 榮子 TANIMOTO, Eiko
学校法人 関西外国語大学 理事長・総長
2021年4月1日付で総長を兼務することになりました。コロナ禍は2年目を迎え、未だ収束の見通しが立たない状況ですが、新年度はひとまず対面授業を実施できる運びとなりました。入学式をはじめ、各種の行事も再開しつつあり、キャンパスにも徐々に学生の姿が増え、活気がもどることを期待しております。これまで以上に大学、短期大学部の校務に目配りしながら、この1年に経験したさまざまな試練を新たな大学づくりに生かすべく努めてまいりたいと存じます。
さて、本学は2020年、創立75周年を迎えました。その礎となった谷本英学院が大阪市内で産声をあげたのは1945年秋、太平洋戦争の終戦から3カ月後のことでした。創設者は、戦後日本の復興と国際社会復帰への願いを外国語教育に託したのです。
その後、関西外国語短期大学を経て、1966年に関西外国語大学を開学し、大学院そして外国語大学として初の博士課程を設置しました。現在、大学院、大学3学部、短期大学部、それに留学生別科と孔子学院を擁する、学生数約1万2000人のスケールの大きな学びの場へと成長してきました。
その根底にあって、本学の発展を支えてきたのは、規模の面でも教育の中身の面でも全国でトップクラスにある短期大学部であるといっても過言ではありません。そのアットホームで温かい持ち味は、今も力強く息づいています。
また、他大学に先駆け1960年代から国際交流にも取り組み、大学の発展をけん引してきました。現在、欧米を中心に55カ国・地域の395大学と単位互換協定を締結しています。学生のニーズに合わせた多彩な留学プログラムを通して、年間約1900人の留学生を海外に派遣する一方、30カ国・地域から約750人の留学生を受け入れています。いずれも国内有数の規模であると自負しております。
私は、教育とは「共に育つ」こと、つまり「共育」であると捉えています。それを実践すべく、私自身も短期大学部の「K.G.C.ベーシックス」授業や課題解決型授業のひとコマを受け持ち、教壇に立っています。中国の古典『礼記』にも「教学相長ず」という言葉がありますが、互いに教え合い、学び合ってともに成長する「共育」の輪を確実なものにしたいと考えています。
グローバル化が進む今日、既存の国際秩序は再構築に向けて混沌とし、AIなどの技術革新の進歩は目覚ましく、先の読みづらい時代を迎えています。こうした中、大学はかつてなく教育の質の改善を求められています。今一度、本学が掲げる教育の理念や目的に立ち返り、その達成に向けた管理運営、すなわち教学マネジメントをしっかりと構築する必要があります。その際、重視すべきは、「学生ファースト」の立場にほかなりません。教職員がワンチームとなって知恵を出し合い、とどまることなく前を見据える「不留」の精神を忘れず大学改革に取り組んでまいる所存です。
経歴
1986年 | アメリカ・モーニングサイド大学 L.H.D. (Doctor of Humane Letters) |
1992年 | アメリカ・パシフィック大学 L.H.D. |
2000年 | 文部科学大臣表彰 |
2001年 | ドミニカ共和国・サンティアゴ工科大学 Doctorado Honoris Causa |
2004年 | 大阪府知事表彰 |
2006年 | コロンビア共和国・CESA(経営大学) 栄誉勲位 |
2007年 | 関西外国語大学短期大学部 学長 |
2007年 | アルゼンチン・ブラスパスカル大学 Doctorado Honoris Causa |
2007年 | 中国・北京語言大学 名誉教授 |
2008年 | 学校法人関西外国語大学 理事長 |
2009年 | 藍綬褒章 |
2014年 | 孔子学院(中国政府)先進個人章・孔子学院銀盾奨章 |
2017年 | 旭日中綬章 |
2021年 | 関西外国語大学 総長 |