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留学時に肌感覚で学んだアメリカ社会の構図
語学で自分に付加価値を。

留学時に肌感覚で学んだアメリカ社会の構図語学で自分に付加価値を。

夢や目標を持つ
自らチャンスを作り出す
多様な価値観と向き合う

みなさんこんにちは。Take Action!編集部です。コロナ禍の2年前、世界中で「半導体不足」が問題となっていたとき、確保のために懸命に働いていたのが、関西外大卒業生で現在、インテル株式会社に勤務する木戸口愛さんです。「半導体を通じて世界を見ることにやりがいを感じます」と語る木戸口さんは、中学時代から英語を使って海外の人と仕事をすることを目標とし、それを現実としました。今の時代だからこそ、日本の人が英語を身に付ける意義を語ってもらいました。

スケールの大きな半導体ビジネスの最前線で働く

 私は関西外大を卒業後、世界的な半導体メーカーであるインテル株式会社の日本法人に就職し、営業の仕事をしています。入社当初はマーケティングのセクションに配属され、現在は日本のエレクトロニクスメーカーの法人のお客様向けに、半導体とその関連製品を販売するのが主な業務です。

 半導体はコンピュータのCPU(中央演算処理装置)を作る重要な素材で、スマホやパソコンはもちろん、自動車、カメラ、スーパーのレジなど、ありとあらゆる電子機器に使用されています。現在、「産業のコメ」とも呼ばれる半導体を安定的に確保することは、全世界のメーカーの生産活動にとって死活問題です。そのため日本のメーカーとアメリカのインテル本社の間に入って調整と交渉を重ね、必要な量の半導体をスケジュール通りに確保し、販売することが私の重要な仕事となっています。コロナ禍では世界的な「半導体不足」が話題になりましたが、半導体の動向は近年、グローバル経済や国家間競争にも大きな影響を与えるようにもなりました。

 半導体ビジネスは市場が大きく、世界中にネットワークが広がっています。「半導体を通じて世界を見ることができる」。この仕事に魅力を覚えるとともに、多国籍企業の一員として多くの人と協力しながら、スケールの大きな仕事に関われることにやりがいを感じています。

背景の違う人に自分の考えを正確に伝える

 私の仕事は、異なる国、バックグラウンドを持つ人と共通認識を持って、合意を得ながら進めていくことがとても大切です。日本のお客様の要望と、アメリカ本社の考えることにギャップがあることもよくあります。日本企業の中には独自の商習慣を持っている会社もあるので、アメリカの上司に要望の背景を説明しながら、できる限りお客様の要望を叶えつつ、本社も合意する条件の落とし所を見つけることに、日々尽力しています。

 私のいる部署はアジア太平洋地域のセクターに属しているので、アメリカ本社とはもちろん、台湾、香港、シンガポール、マレーシアなどにいるスタッフとも連絡を取り合いながら業務を行っています。さまざまな国の人と英語でコミュニケーションするときには、単純な語学力だけでなく、「どのような順番で物事を説明すれば、最もよく理解してもらえるのか」も考える必要があります。そうした仕事を経験する中で、自然に自分の考えを正確に伝える力が身に付いたと感じます。

ディベート部を創部した思い出

 私は福井県出身で、中学生の頃から留学の専門雑誌を読んでおり、海外に強い関心を持っていました。高校も「国際科」という英語を重点的に学修する科がある学校に進学し、関西外大に入学したのも、国内の大学で最も海外留学制度とサポートが充実していたからです。当時は、留学先の大学で学位が取れる大学が珍しかったことも決め手になりました。

 実はほかに、関西の有名大学にも合格していたのですが、どうしても留学したかった私は、両親にお願いして関西外大に進学させてもらいました。この進路が現在の会社で働くことにつながったので、今振り返ってみてもとても良い選択をしたと感じています。

 関西外大での思い出は、友だちと一緒にそれまでなかった「ディベート部」を作って活動したことです。当時、日本では今ほどディベートという活動が知られていませんでしたが、2つのチームに分かれて、ある問題について対立する立場から議論を深め、最終的にジャッジによって勝ち負けを争うディベート競技の面白さを知って、熱心に取り組みました。他の大学も参加する英語のディベート大会や、海外での大会にも出場し、部の活動を通じて物事を順序だてて説明する力や、聴衆の共感を得る話し方などを学ぶことができました。

肌感覚で知った「人種のるつぼ」の現実

 ダブル・ディグリー留学したニューヨーク州立大学オルバニー校では、公共政策について学びました。専攻分野を選んだ理由は、留学前にインドで短期のボランティアに参加したとき、ひどい貧困を目の当たりにしたことでした。「社会を良くするには、政治や経済など大きな枠組みを変える必要がある」と思い、公共政策を学ぼうと考えたのです。

 留学先大学の授業は非常にレベルが高く、とくに地元ニューヨーク市の政治について議論しながら学ぶ講義は、ネイティブでない私にとってかなり困難でした。必死で書いたレポートが教授に認められ、単位をもらえたのが良い思い出です。

 そんな風に勉強に打ち込みながら、アメリカの中心、ニューヨーク市で2年間過ごし、現地で生活したことは、非常に大きな意義ある時間でした。高校で「アメリカは人種のるつぼ」と教わりましたが、実際には人種や宗教ごとに人々が緩やかに集まって暮らし、お互いに配慮しながら社会を作っている構図が肌で理解できました。

 その感覚は今の会社でも、アメリカ人の同僚と良好な関係を築く上でとても役立っています。アメリカ留学にもし自費で行っていたら、年間約600万円の学費がかかったはずですが、関西外大の学費だけで済んだのも大いに助かりました。

日本人のわずか15%しか英語を使って働いていない

 私が就職活動時に、現在の会社で働くことを決めたのは、中学生の頃から胸に抱いていた「英語を使って海外と仕事をしてみたい」という夢の実現のためでした。以前、あるテレビ番組のアンケート調査で見たのですが、日本人の就労人口の中で、少しでも英語を使って仕事をしている人は、わずか15%しかいないそうです。その15%には英文のメールを送ったり、英文の資料を読んだりすることがたまにある、というぐらいの人も含まれるので、日常的に仕事で外国の人と英語で会議をしたり、プレゼンを英語で行ったりする人は、はるかに少ないと思われます。

 一方で日本以外の国に目を向けると、例えば経済発展が著しいシンガポールは、中国系やマレー系などの多民族が暮らし、4つある公用語のうちの1つが英語です。子どもたちは学校の教科を英語で学び、お店の人も全員が流暢に英語を使いこなしています。インドやフィリピンも同様に、高等教育を受けた人は英語を話しますし、韓国や台湾も急速に国民の英語力を伸ばしています。

 そういう状況の中で、日本ではようやく小学校から英語を教え始めましたが、まだ本当にわずかな人しか英語を使って仕事をしていません。逆にいえば、「仕事で使えるレベルで英語を修得すれば、それは現在でも日本の労働市場の中で大きな価値を持つ」ことを意味します。

 英語を修得したあとで、私のように外資系の会社で働くという道もあると思いますし、これから日本で大きな成長が期待される観光サービス業などで、インバウンドで来られた海外の人と仕事をするのにも英語は役立つはずです。実際に、英語に対応しているお寿司屋さんや和食レストランは、すでにインバウンドのお客さんが列をなしています。

 寿司職人のような独自の技術を持った人が英語を学べば、これからの世界で生きていく上で、大きな力となります。関西外大では語学を通じて専門分野の知識を身に付けることを推奨していますが、まさにこれからの世界では、「語学+α」が求められるのだと思います。

 外大生は入学した瞬間から、留学生と外国語で議論し、交流する日常が始まります。自分から積極的に話しかければ、海外の人との会話のペースや感覚も自然に身に付いていきます。そういう意味で、関西外大ほどこれからの世界に必要な学びが得られる場は、日本に珍しいと感じます。

英語を日常的に使う仕事は世界を大きく広げてくれる

 現在のデジタル社会を支えている半導体は、世界中の国々にとって国家の経済や安全保障をも左右する「戦略物資」となっています。そのような重要な素材であるがゆえに、常に最新の半導体に関する情報をキャッチする必要があり、英語での情報収集や実際に海外の専門家に話を聞くことが欠かせません。英語を使ったグローバルな仕事は、日本語だけの環境でいるよりも、はるかに広い世界を見せてくれます。一方、先述のように日本の労働人口の中で、英語を十分に使いこなせる人はまだまだ少ないのが実情です。私自身、関西外大と留学で身に付けた語学力が、自分の大きな付加価値となっていると感じます。これからも仕事を通じて世界の政治や経済の動きを知りつつ、自分のライフプランを前に進め、毎日幸せに生きていきたいと思います。

MOVIE|いつかキミが世界と日本をつなぐ|木戸口さん編

※本記事は「大学案内2024」を元に再構成したものです。資料請求はこちら
※記事の内容は取材時点(2023年3月)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります